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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第1章 朝が来るまで待って 〜明智光秀〜


月を眺めていた。

もう半月ほど、光秀さんに会えていない。
家康のおかげで私は少しずつ元気を取り戻せている気がする。
このまま、会わずに現代に帰るのも一つの手かもしれない。
でも、佐助くんからは何も連絡はない。
まだ帰れないのだろう。
私はここにいるしかないのだ。
この気持ちと一緒に。

細い三日月…あの人の笑った口のように見える。
でも、本当は優しい目を柔らかく微笑む顔を私は知っている。

光秀さん

光秀さん…


心の中で呼びかけている


「会いたいな…」


「誰に?」


びっくりして振り向くと壁に寄り掛かって腕組みをしている光秀さんがいた。

「どうした?月に願掛けとはお前らしいな」

「み、光秀さん…」


目頭が熱くなる。

あぁ、光秀さんだ。
光秀さんがいる。
目が潤んできて、下を向いた。

「お、お久しぶりです…。信長様に報告ですか?」

「あぁ、今終わったところだ」
「そう…ですか…」


恥ずかしい。
顔が見れない。
この場からすぐに逃げたかった。


「あ、あの。私、ちょっと用事が…」

そう言いながら、光秀さんの横を通り過ぎようとする。

すると、力強く腕を掴まれた。

「待て」

驚いて顔を上げる。
私の顔を静かに見つめる、二つの目。

「逃げるな」
もう、捕らえられてしまった。
怖い…光秀さんの目の奥が怒っている気がした。



「どこに行く?自室なら送って行こう」
「ち、違います」
「家康なら今日はいないぞ」

何を言われているのかわからなかった。


「随分仲が良いみたいだな」

冷ややかな声が廊下に響いた。


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