第25章 続・私、人妻です〜織田信長〜
ある日の昼下がり。
私は、気づいた。
前から無くなっているなと思っていたものが、確信に変わる。
「信長様…無くなりました」
「…また、何か無くしたのか。今度はなんだ」
「む、胸が…どこにもありませんっ!」
呆れた顔の信長様が私を見る。
いえいえ、これは深刻です。
私の膨らみはどこへ消えたのでしょうか?
このお腹?
このお腹の周り?!
「以前もそう言って騒いでいたが、すぐ膨らんだだろう」
「あれは、また妊娠したからですっ!」
「……なんだ、また欲しいのか。そういうことは早く言え」
「ち、違います!」
私の着物を脱がそうとする信長様を慌てて止める。
信長様は手を止めると、溜息を一つした。
「なんだ、胸ぐらいで」
「うっ、酷いです」
「お前自身は何も変わっていない。この顔も温もりも。…俺は日を増すごとに、お前への愛しさは募っているのだがな」
「お前は違うのか?」
…ずるい。
そんな風に言うなんて。
嬉しくなってしまいます、信長様。
「私が申し上げるのもおかしな話ですが…」
私は前から思っていたことを口にする。
以前からどうしてもわからないことがあった。
「どうして、飽きないのですか?」
「…飽きる?」
「飽きませんか?私と…その…するのを」
何を言っているのかわからない。
そんな顔を信長様はした。
「なぜ、飽きるのだ」
「いや…その、なんでそんなに私としてくれるのかわかりません」
私の身体は日々、時間と共に変わっているはずだ。
もちろん気はつけてはいるけれど、出産した私の身体をまだ求めてくる信長様の気持ちがわからない。
私が男なら、もっと若くて可愛い子がいいって思ってしまう。
だから、尚のこと信長様が謎なのだ。
「嫌なのか?」
「違います。逆です。有り難くて、申し訳ないというか…」
「申し訳ない…だと…?」
あ、信長様の目が怖い。
怒らせてしまった、と私は気づいた。