第24章 鎖をされたら〜毛利元就〜
「ほら、言ってみろよ。『あなたのものにして下さい』ってな」
赤い瞳がギラギラと光って私を見ている。
私の首についている鎖を楽しそうに引っ張り、顔がどんどん近づいてくる。
褐色の肌に、意地悪そうな笑顔がよく似合う…この人は毛利元就。
私は騙され、誘拐され、この人に奴隷として買われたのだ。
私は戸惑いながらも精一杯、彼を睨んだ。
「涙目で睨んでも、効果はないぜ?」
「は、離して下さい」
「それは出来ねー相談だな。俺はお前を買ったんだ。もうお前は俺のもんなんだよ。どうしようと俺の勝手だろ」
毛利元就は涼しい顔で言う。
「前から気に入っていたんだ、あんたのこと」
「私のこと…知っていたんですか?」
「まあな」
そう言いながら、鼻先が触れそうになるくらい近づいてくる。
「へー、近くで見ても可愛いじゃねーか」
口の端が楽しげに笑う。
「このままだと、唇が奪われるぜ?良いのかよ」
唇が当たるか当たらないかのギリギリで言われ、私は目を閉じて顔を背けた。
「たまんねぇ反応すんだな、お姫さん…でもな」
毛利元就はまた鎖を強く引っ張り、私の顔を向けさせた。
「お前の主人は俺だ。しっかりこっちを見ろよ」
有無も言わせない言い方に頭に来て私はまた、毛利を睨みつけた。
「気がつえー女は嫌いじゃねぇ。ますます俺好みだな、あんた」
すると、毛利元就は急に鎖を離した。
私はよろけながら、彼に腰を支えられる。
「やっぱ、やめた」
「何でですか?」
「なんか、嫌がることしたくなったけど今日はいーわ」
私がきょとんとすると、彼は笑った。
「いつか言わせてやるよ、嫌でもな…。まあ、長期戦でいくわ」
「え?」
「お前の、心ごと奪ってやるから…今はこれだけ」
そう言って、首の鎖を外すと、首筋に口付けて強く吸った。
「んっ!」
「…俺のもんっていう印だけ残しとくよ」
私は赤くなって、首を隠した。
本当に何を考えているのか、わからない。
でも、強く惹かれていきそうな…そんな予感がして怖くなった。