第22章 あなたが怒るわけ〜徳川家康〜
「だから、他の奴と仲良くしてるの…やなんだよ」
「これでわかった?」
ーーー…「精々、気をつけるんだな」
私は、家康の様子から、光秀さんの昨夜の言葉を思い出す。
昨夜光秀さんに用事があり、訪ねたら開口一番に言われたのだ。
「気軽に男の部屋に来るんじゃない」
しっしっと手で追い払われた。
「何でですか?」
私が不満げに言うと、光秀さんがフッと思わせぶりに笑う。
「男の嫉妬は厄介だからな」
「お前の一挙一動に心を乱され、苛立ちを隠せない輩がいる…とだけ、忠告してやろう」
「覚えておけ、下手に刺激をすると襲われかねない」
…ーーー
家康は、昨夜私が光秀さんの部屋に行ったのを知っているんだ。
だから、あんなに怒ったのね。
私はやっと納得した。
でも、意外だ。
家康って私に興味無さそうな素振りしか見せなかったのに。
一生懸命な家康の姿につい、言ってしまった。
「可愛い…家康」
あっと口を抑えたけれど、もう間に合わない。
家康がギロリとした目で私を見ていた。
「ご、ごめん」
「何、今の?可愛いって言った?」
「あ…違うの。馬鹿にしたわけじゃなくて」
「そういう風にしか聞こえなかったけど?」
言葉のチョイス、間違えた。
でも、なんだかんだ言っても怒ってる家康も好きなんだよね。
私がちょっと笑うと家康が私の腕を掴んだ。
「もう二度と、可愛いなんて言えないようなこと…するよ?」
余裕そうな笑みを浮かべた家康。
私は、そんな家康を見たらスイッチが入ってしまった。
「して」
「え?」
「して欲しい」
「なっ…」
驚いた家康の顔がどんどん赤くなる。
あ、やっぱり可愛い。
私は家康に自分から口づけていた。
そして、家康の手を取ると、その手を自分の胸に導く。
「私に触って…」
私は、家康の耳元で囁いた。
「……っ!?」
家康は眉間に皺を寄せて苦しそうにした後、そのまま私を押し倒した。
私を欲しがる家康が見たくなったのだ。
家康は、ちょっと刺激しただけであんなになるのね。
可愛い。
光秀さんの言う通りだ…。
「んっ…もっと…」
私は家康を煽って楽しんだ。
怒られてばかりなんて嫌だから、たまにはお返し、しないとね。
いつも怒ってばかりのあなたに。