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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第22章 あなたが怒るわけ〜徳川家康〜




「家康、ごめんね」


「何が?」
私の顔も見ずに、家康が冷たく言い放つ。

「えっと…」
思い当たる節はたくさんあるのに、決定的なものは何も浮かばない。正直、家康は何でそんなに怒っているかわからなかった。

「何がごめんかもわからないのに、謝らないでくれる?」
そう言って、去って行った。


家康はいつも冷たいけれど、今日は特別冷たかった。
私はどうしたら良いのだろう…。
家康に去られて、私は途方に暮れた。



朝から私を避ける家康が気になり、とりあえず謝ったけれど、それで余計に腹を立てたみたいだ。
確かに思い起こせば、家康に怒られてばかりだ。
昨日も三成くんと本の整理してたら雑だって怒られたし、
その前はくだらないことで政宗と騒いで怒られたし、
今更、何で怒っているのか私にわかるわけもなかった。

でも、考えないと!
それで家康の機嫌が直るなら、私が頑張るしかないじゃないか。




「…で、わからなかったって?」
「うん、そう」
「なんだよ、それ」
家康が呆れて言う。
私は降参して、再び謝りに家康の部屋を訪れたのだ。

わかってる。
予想通りの反応だった。
でも、わからないんだから仕方ないじゃないか。
私はとにかく、早く家康に機嫌を直して欲しいのだ。
喧嘩のままなんて、嫌だし。

家康は私を見て盛大に溜息をつくと、
「昨夜、何してた?」
と言った。

昨夜…??

「何も…」
私がきょとんとしながら答えると、家康の表情が険しくなる。
「なっ…」
「えっ!待って待って!」
怒って何かを言おうとする家康に気づき、私は慌てて家康の口を手で塞ぐ。

「思い出すから、怒らないで…」
私がしょげて家康を見ると、目が合った。
私は何も言えず、家康をただ見つめた。
家康の綺麗な顔が間近にある。

すると、家康がそっと私の両手を剥がした。


「葉月…」
優しく名前を呼ばれて、私は驚いた。

ずるい、急にそんな声出すの。
さっきまで怒ってたのに。







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