第21章 私、人妻です〜織田信長〜
「お前なら大丈夫だ。安心しろ。天下人の妻になるのだからな」
「…本当に良いのでしょうか」
「まだ言うか」
「あ、いえ。ありがとうございます」
「好意は有り難く貰っておくものだ。わかったな?」
「はい…だから、私に手を出して来なかったのですね」
「なんだ、手を出して欲しかったのか?」
思わず、私は赤くなる。
図星だけど…気にはなっていたから。
正直、残念でもあった。
「体調の悪そうなお前に何かするつもりはない。まず、自分の身体を大切にしろ」
「…信長様が男前過ぎて、困ります」
「そうか、それは良かったではないか」
私が膨れると、信長様が笑った。
高らかに笑う、その笑顔が眩し過ぎる。
私が見つめているのに気づき、信長様が片方だけ目を細める。
「どうした、また惚れ直したか」
「はい…」
思わず頷いてしまう。
これで惚れない女子はいないだろう。
私はまた、信長に抱きついた。
「信長様、私…前から…信長様のこと…」
「わかっている。俺もだ」
天下人の妻になれるなんて…。
人生何が起きるかわからない。
でも、本当にこの子がそうしてくれたのだとしたら…。
私はお腹を触って想いをはてる。
そう考えたら、とても有り難い縁だ。
乗り越えていきたい。これからどんなことがあっても。
この感謝してもしきれない、この気持ちを返していきたい。
あなたの側にいられるだけで、私は幸せなんです。
どうか、このまま、ずっと…。