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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第21章 私、人妻です〜織田信長〜



私は、ときめきながらも質問をした。

「あの…もし、帰りたくなくなったら…どうしたら良いですか?」

女というのは、常に現実を見てしまう生き物だ。
期間限定に人は弱いものだから。
帰るとわかっているからの発言なのかもしれない。
いや、それでも充分過ぎる提案なんだが。
ただ、信長様のご好意にずっと甘えて良いのか気になった。

信長様はやや驚くと、声を出して笑い出した。

「なんだ、もう帰りたくなくなったか」
「あ、いや…もしそうなったらどうするのか気になって」
「どうするとは?」
「私、信長様の側室とかになるのかなぁって」

すると、信長様が急に黙る。

「…貴様、馬鹿にしておるのか」
「え!いえいえ」
「側室など、取るつもりはない」
意外な答えに驚く。

「何でですか?男の人って一人じゃ満足出来ないんじゃ…?」
「はっ、実に下らんな。女子一人幸せに出来ない男は、男ではない」
か、かっこいい…。
そんなに即答できるなんて。
しかも、この人は口先だけではないのが伝わる。
この人は、見た目だけじゃなく中身も男前なんだ。

「信長様…私、一生ついていきます」
「何を言っている。変な女だな、お前は」
信長様は呆れた様に笑った。

あなたもね。さすがうつけ者と言われているだけある。
私は心の中でこっそりそう思った。

「そんな雑魚は切り捨てろ。なんの価値もない」
「…私、何も言っていません」
「気にするな。独り言だ」
そう言って、私の心をまた軽く救ってしまう。
すごい人だ、あなたは。
何でもない様に言ってくれる。
私は悩んでいたのが馬鹿馬鹿しくなってきた。
この人のように、心のまま真っ直ぐに生きてみたい。

「信長様、不束者ですが…よろしくお願い申し上げます」
私は頭を下げた。
「なんだ、硬いな。つまらん」
信長様はがっかりしたような顔をし、私の肩を叩いた。
「もっと艶っぽく言えんのか」
「…勉強しておきます」
「それは楽しみだな」

そう言って、また声を上げ笑うのだった。


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