第19章 夢で逢えたら〜石田三成〜
「……ダメですよ、葉月様…」
「なんで?したい」
私は三成くんに詰め寄る。
「お願い、三成くん……」
困る三成くんに無理矢理、唇を重ねた。
「ね、いいでしょ?」
そのまま三成くんを押し倒したのだった。
ーーー……私は目を覚ました。
な、な、なんていう夢を見てしまったんだ!
思わず布団を頭まで被った。
あまりのリアルな夢に驚く。
夢は願望を映すとかあったっけ?
いや、ないよね?
私、なんだ?
欲求不満か?
三成くんをそんな目で見たことないのに。
胸がまだドキドキしてる。
はぁー…お、驚いた。
「葉月様、おはようございます」
「あっ。お…おはよう」
廊下て三成くんに声を掛けられ、私は慌てて返事をした。
頬が熱くなっていく。
あんな夢見ちゃうと、意識しちゃうよね。
そうだ、仕方ない仕方ない。
逆に普通だ。
「どうかされましたか?」
「いえいえ。全く!」
「……?では、朝餉で」
三成くんは小首を傾げると、先に行ってしまった。
ふぅーと息を吐く。
冷静に冷静に。
私は立ち止まり、胸に手を当てて深呼吸をする。
まだ胸がドキドキしてる。
落ち着け、自分。
あれは夢、あれは夢。
「どうかしたか?」
「びっ、びっくりしたー。政宗、おはよう」
「何やってんだよ、朝っぱらから。さっさと行こうぜ」
「うん…」
私たちは暫く無言で廊下を歩いていたが、ふと私が口を開いた。
「政宗は、変な夢とか見たことある?」
「変な夢?怖い夢でも見たのかよ」
「あ、いや…そういうのじゃないんだけど…」
私が口籠もると政宗は肩を優しく叩いた。
「ま、気にすんな。その日見た夢なんて、明日になったら忘れてるからな」
「そう、か。そうだよね」
確かに、夢なんて朝起きたら大体はすぐに忘れちゃう。
気にしないでおこう。
「ありがとう、政宗」
微笑んで政宗を見ると、優しげに口の端をあげていた。
そうだ、明日になったら忘れているはず。
大丈夫、大丈夫…と思っていたが。