第17章 やさしい獣〜伊達政宗〜
その日の夕餉は、行くのが怖かった。
でも、政宗はいつも通りで私のことなどまるで興味がないように感じた。
私は、下を向いて食事するしかなかった。
でも、喉を通らない。
私は溜息をすると、三成くんが心配そうに此方を見る。
「どうかされましたか?」
私は曖昧に笑うことしかできず、「大丈夫」と答えた。
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夜は眠れそうになかった。
よせばいいのに、私は政宗の部屋の前にいた。
でも、声も掛けられずただ呆然と立ちつくしたまま動けない。
すると、急に戸が開いて政宗の手が私の腕を掴み、私は中に引き摺り込まれた。
「何びびってんだよ」
政宗は私を挑発的に見て言った。
私の心臓はもうこれ以上早く動けない程、急速に音を立てて苦しい。
「あの…私…」
「お前から来たんだ。もう逃してやんねぇからな」
そう言うと、噛みつくように私に口づけをしてきた。
舌が追いかけてくる。
息が出来なくて、私は唇を離した。
政宗の顔を見ると、目がすごく澄んでいるのに気づく。
冷静だ…私のことを静かに見つめている。
その澄んだ瞳で、私の着物を乱暴に脱がしていくのが不思議だ。
私は政宗の髪の毛を手でそっと掴んだ。
「随分と余裕そうだな」
何も言わない私にそう呟く。
こうやって、獲物を確保していくのね。
私は身体中に這う感触に、声を抑えるのに忙しい。
「我慢できるならしてみろよ」
背中から聞こえてくる声は、いつもより更に色気を放っている。
私は高く高く登らされ、一人じゃ戻れない処まで上がっていく。
そうして、果てしなく堕ちていくんだわ。
この人の手で。