第31章 豹変したキャプテン2
貴方side
大吾「ごめんごめん、ちょっと寝坊して」
睦子「珍しいね、大吾が遅刻って」
大吾「そう?」
睦子「でも、ちょっと気を付けてくれないと」
大吾「え?」
睦子「あの大敗の後で今日から皆気持ちも新たに朝練出てんだから。てゆーか、何で遅れてかけ足じゃないんだろ。遅れる理由もないし
大吾、ねぇ聞いてる?」
大吾「…嫌だなー、何をカリカリしてんだよ睦子。怖い怖い」
睦子「…大吾…?」
大吾「部活じゃないか、楽しくやろーよ」
貴「…」
いつもの彼とは、何か違った雰囲気に感じ私達は不思議に思う
睦子「…楽しくって、別に楽しくやってるわよ!でも、辻堂にあんな負け方してっ皆悔しい思いしたから、もっと頑張らなきゃって朝練出てんでしょ!?なのに、大吾が遅刻するからっ」
大吾「煩いな…遅刻くらいどうだって良いよ。大体、これまではちょっと厳しくやり過ぎたよ。毎日野球野球、部活部活って馬鹿みたいに入れ込んじゃってさ」
睦子「………え?」
野球に関して一番真面目な大吾からの言葉に、私達は驚くしかない
大吾「学生なら勉強もしてよく寝て、よく食べて息抜きもして、もっと青春楽しまなきゃ。プロ野球選手じゃないんだし」
睦子「な、何それ!待ってよ大吾…」
貴「大吾、待て」
松葉杖を使い、立ち上がりながら彼に近づく
大吾「!…怜花、足の方は大丈夫?」
貴「重症ではないから大丈夫。それより、お前が今言った言葉は本音?」
大吾「……そうだよ?今まで厳し過ぎたんだ、怜花は怪我もさせてしまった。今まで通り、ゆったりと県大会目標で良いと思う」
睦子「大吾…」
そう言うと大吾はグラウンドを走りに向かう
睦子「…どうしたんだろ、大吾」
貴「………もしかしたら、光が関係してるかも」
睦子「光君?」
帰り際に本人から聞いた言葉を大吾に伝えたなら、少なからず彼は野球への情熱を失ったのかもしれない
睦子「光君が、どうして?」
貴「…」
正直、言うのは戸惑ったが大吾を心配してる睦子にのみ教えた
☆
睦子「……光君が?」
貴「これが原因なのかは知らないよ。けど、今の大吾は野球への情熱を失ってる」
睦子「…」