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心憂し【銀魂裏夢】

第3章 壊れる音の閑話【土方裏夢】


が真選組に来てから数日。
山崎と共に簡単な潜入捜査を終えたは、報告書を片手に副長室を訪れていた。
噎せ返る程の煙草の匂いと煙に、顔を顰めそうになり慌てて背筋を伸ばす。
そんなの気持ちをよそに、土方は新しい煙草を取り出し火を点けた。

(何でよりにもよってマヨボロ……)

別れた恋人が嗜んでいた煙草と同じ銘柄のパッケージが視界に入り、溜息をつきそうになる。
思い出したくないのに、強制的に揺さぶられ、想いも後悔も引き出された。
ぐちゃぐちゃと考えていると、山崎によって現実に引き戻される。

「では、続きはさんから──って、さん、大丈夫?」
「えっ」
「報告、出来そう?」
「はっ、はい。申し訳ありません」

余計な感情を取っ払って報告書を読み上げると、ゆっくりと脳が覚醒していった。

「──以上、本日までの状況になります。明後日の集会には、山崎さんのみ潜入し、私は退路確保の為に施設内に待機予定です」
「こんだけ証拠が有るなら、明後日の集会自体潰しゃあいいだろ」
「それが……」

眉を下げて困惑した表情を浮かべたに、山崎が慌てて言葉を続ける。

「実は、その日は頭目が別の集会、というかパーティーに参加するみたいで」
「パーティー?」
「はい。えーっと、あの……女性を複数集めて行う物らしく。一応、報酬の支払われる合法の物で、薬も絡んでいないようなので」

言葉を選びながら報告する山崎の隣で、俯いているの表情に、土方はそれが何かを察して溜息をついた。

「物騒なんだか平和なんだか……。で、そっちのパーティーとやらは誰が張り込むんだ?」
「大江戸警察が。何か有れば、さんが中継役になって情報交換をする算段です」
「成る程な。おい、大江戸警察の奴等には「余計な仕事は増やすな」って伝えとけ」

不敵に笑う土方に、答えに窮したは困った表情のまま頷く。

「副長、さんを困らせないで下さいよ。一応、大江戸警察との共同作戦になるんですから」
「共同作戦、ねぇ」

ふうっと土方が煙を吐き出した瞬間、部屋中に「ぐうーっ」と音が響いた。

「「?」」

音の正体がわからず、目を開いた土方と山崎とは対照的に、は耳まで真っ赤になって俯く。
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