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心憂し【銀魂裏夢】

第1章 壊れる音【土方夢】


その勢いのまま、障子を開けて山崎に怒鳴り上げる。

「山崎ぃ!テメェさっさと報告書上げやがれ!!」
「副長ォォオ!?」

完全にだらけていた山崎を蹴り上げた。

「何暢気に茶ァしばいてんだ!昼までに報告書出せっつっただろーが!!」
「スグ!今すぐやりますっ!」

慌てて事務机についた山崎は、猛スピードで筆を走らせる。盛大に舌打ちするとが遠慮がちに声をかけてきた。

「副長、山崎さんを休憩に誘ったのは私なんです。急ぎの要件とは知らず、申し訳ありませんでした」
「誘ったのはお前でも、便乗したのはコイツだろ。つまり、山崎が悪い」

断言するとの顔が僅かにひくつき、「以後気を付けます」と誤魔化すように笑う。
その表情に、妙にそそられた。
ほとんど無意識にの手首を掴む。

「っ、副長、何か?」
「ちょっと来い」
「え?」

掴んだ手前引き返せなくなり、半ば強引にを連れて行く。無計画だったため、ひとまず自室に引き込むが、その先を考えていなかったせいで考え込んでしまった。
黙り込んでいると、沈黙に耐えられなくなったのかが「お茶でも煎れましょうか?」と尋ねてくる。

「頼む」
「え?」

冗談のつもりだったのだろう。驚いた様子のは、すこし慌てて「あ、じゃあ、お茶用意してきます」と、殆ど逃げるように飛び出していった。
脅かすつもりはなかったのだが、つい苛ついて妙な態度をとってしまう。
が自分以外の男と親しくしていると、焦りが募り、不安になった。

「重症だな」

自嘲して、煙草に手を伸ばす。
口いっぱいに広がった苦みが、僅かに脳を覚醒させた。
出て行ったを追って監察の控室を覗くが、山崎が机に向って書類を作成しているだけで、の姿はない。

「おい山崎、はどこ行った」
「へ、どこって、副長が連れて行ったんじゃ……」

戻っていないのか、と諦めて厨房に行ってみると、お盆の上に並べた茶や茶菓子を指さし確認しているがいた。
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