第2章 壊れる音【土方裏夢】
が変更に気付くのは暫く先だろうが、その時の反応を思うと胸が弾むような思いがした。撫で擦ったりして愛でていると、来訪者を告げるチャイムが鳴り、朝食の用意が整ったことを告げられる。
「、朝飯だ」
「ん、んうっ…」
腕の中でもぞもぞとするに愛しさが募り、また犯してしまいそうになる欲望をおさえながら何度か揺さぶって刺激を与えた。
「ほら、食うならさっさと起きろ」
「んあっ、はい……。食べます」
まだ眠たいのか、ぼんやりとしているは答えながらも土方の胸に額を押し付ける。
「お前……煽ってるのか?」
「ん?」
「――食い損ねたくなかったらさっさと起きろ」
理性を総動員した土方は、の頬をぎゅっと抓り、半ば無理矢理覚醒させた。
「うあっ、あっ、おはようございます」
「朝飯喰いに行くぞ。ああ、その前に着替えてこい。その格好で外には出れねぇだろ」
「は、はい。あの…」
「待っててやるからさっさとしろ」
頷いて、は慌てて寝室に行き、襦袢を脱いで脱ぎ散らかしていた下着を身に着けると、予備の浴衣に袖を通す。
少しきつめに襟を締めて帯を結んだ。
(いや、何があるわけじゃないんだけど……)
ふうっと息を吐いて、土方のもとに戻る。
「お待たせしました」
「じゃあ、行くか」
手を取られ、は僅かに震えるが、きゅっとその手を握り返した。恥じらうその姿に土方はふっと微笑み、握った手をそっと引いて部屋から連れ出す。
(どうしたって、逃げられない)
土方に促されて食卓についたは、並んだ朝食を見て頰の筋肉を弛めた。
「おいしそう」
表情を輝かせたに、食事の用意をしている仲居が簡単に料理の説明をする。興味深そうに話を聞くの姿に、土方は僅かに口もとを歪めてその首元を凝視した。
隠せない位置につけた所有印は、先程よりはっきりとしてきている。仲居は平然とした様子でに対応しているが、それには気付いているようで、何度かその痕に視線を止めていた。
あまりに凝視していたせいか、説明を聞き終えたは首を傾げる。
「どうかしましたか?
あっ、マヨネーズが……」
「そう言やそうだな」
「?」