第2章 壊れる音【土方裏夢】
混乱した様子の山崎に、土方は煩わし気に溜息をつくと「問題ねぇよ」と答え、電話をに渡す。慌てて受け取って応対するに、土方はにやりと笑ってその背後に座った。
「あ、わ、山崎さん、です。えっと、情報収集は完了しました。詳細は副長がご存じですので、屯所に戻りましたら報告書を――ぁっ!」
『ちゃん?』
突然くぐもった声に、電話の向こうの山崎が不思議そうにの名前を呼ぶ。
当のはと言うと、背後から土方に抱きしめられていた。無防備な首筋に唇を寄せた土方は、目を閉じてに凭れる様に身を預ける。
「す、すみません。山崎さん、私はまだ副長と一緒に居るので、……ひあっ、あっ!」
取り繕うとしていたは、突然首筋に噛みつかれて軽く悲鳴を上げ、身を震わせた。
ちゅっ、ちゅっと噛みついた所に口づけを繰り返され、携帯電話を取り落としそうになりながらは口元をおさえる。
『えっ、ちょっ、大丈夫?何か息が荒いけど…もしかして、怪我してるとかじゃないよね?』
「んっ――怪我はしてないです。はっ、あ、すみませ、…疲れてるので、また改めて連絡しますね」
は震える指先で通話を切り、腰に回された腕に軽く手を重ねた。
「離して、下さい」
「ん……ちゅっ、はっ、はむっ」
「~~っ、副ちょっ――ふあっ、まっ」
腰に回っていた土方の腕がの胸を掴み、親指と人差し指で胸の先端を摘まんで軽く引っ張られる。びりびりと腰が痺れるような感覚に、は甘い息を漏らした。
「あっ、んっ、や……副――」
「お前、本当ににすぐ忘れるな」
「えっ?」
「今、お前を気持ちよくさせてるのは誰だ?」
土方がの耳朶を唇で食みながら、胸の先端を強めに抓ると、ピクリと体が震え、強張っていた体から力が抜ける。
「誰がお前をイかしてやった?」
「んあっ、トシさん…、です」
「じゃあ、今日からお前は誰のものになる?」
「トシ、さん?」
首を傾げながら答えたに、土方は満足そうに口元を歪めると、「いい子だ」と体を密着させた。
このまま溶け合って一つになってしまうのではないかと思うほどぴったりとくっついた体に、は戸惑いながらも土方に体を預ける。