第2章 壊れる音【土方裏夢】
中を擦られ、ぼんやりとしていく頭では必死に言葉を探した。
この欲望を言葉にする術を、は知らない。
けれど、疼く体は早く、速くと急かしてきた。
「は、あ、指じゃなくてっ、んあっ、指じゃないものを入れてくださいっ」
「指じゃない、ねぇ」
指が抜かれ、は期待に満ちた目で土方を見下ろす。
と目を合わせた土方は、濡れた前髪をかき上げるとニヤリと口元を歪ませた。
「指じゃないもの、入れてやる」
「えっ、ああぁっっ!!」
蜜口に差し入れられた舌の感覚に、は体を震わせる。ピリピリとする感覚に、堪らず土方の頭を掴んで髪を乱した。
「や、あ、気持ちぃ、いいっ!」
狂っていく自分が恐ろしくて、過剰なほど声を上げて聴覚を誤魔化す。
「あっ、あんっ、ああぁぁっ、ひうっ」
花芽を同時に擦られ、は体を突っ張らせて一際高く啼いた。
舌を抜いた土方は、の耳元に唇を寄せて意地悪く尋ねる。
「で、どうする。これで終わりで良いか?」
「んっ、いじわる、しないで下さい」
「仕方ねぇ。どう言えばいいか、ヒントをやるよ」
がごくりと喉を鳴らす音が聞こえ、土方は目の前の耳たぶを甘噛みすると、ふうっと息を吹きかけた。
「名前を呼んで、どうして欲しいか言うんだよ。ああそうだ、俺をどう思ってるのかも言えれば、さっきよりずっと気持ち良くなれる」
「俺がな」と、心の中で付け加える。
は目を閉じて土方が求める言葉を探した。自分でもわかるほど、子宮が疼いてとめどなく愛液を漏らしている。たった数時間で、自分が別の生き物に変わってしまったような気がして、少しだけ恐ろしかった。けれど、それ以上にこの先を求める自分がいる。
「トシさん…あの、あの――っ」
その名称を口にすることが憚られ、はぎゅっと手を握り締めた。ぽろぽろと涙が零れる。
「っく、トシさん、の、が、欲しいです」
「何で俺が欲しいんだ?」
「ふっ、うっ…――好き、です。だから…」
「じゃあ、仕方ねぇな」
浴槽から出た土方は、風呂椅子に腰かけるとを太腿の上に座らせた。
「あの……」
「まだ勃ってねぇから、扱いてくれるか」
言われている意味が解らずに、は不安げに眉を寄せる。