第13章 晴れのち思い出
『ありがとう、幻太郎。めっちゃ美味しかった!』
「それは僥倖。して、今日はどこか行かれるので?」
『不要品の回収とかは引っ越し当日やし、荷物もおおかた纏めたから用事自体はないんよねー。食材も使い切らんとやけど、明日のメインになるやつはないんよ。』
「では、夜、釣りにでも行きますか?自給自足も中々に面白いかと。」
『え!?いいの!?めっちゃ楽しみ!』
「喜んで頂けたようでよかった。仮に釣れなくても確かこの近くに24時間スーパーがありましたし、万事解決するでしょう。車もレンタカーしてますので、道具も積み込めますよ。」
『頼りになるー!』
「姫のためなら当然ですよ。」
冗談といった表情もまったくなく、さらりと言ってのける幻太郎に少し照れてしまう
『スパスパ煙草吸いたくる姫って絵面強過ぎん?』
「そんな姿ですら美しいのですから、困ったものです。あ、そうだ。今日も綺麗ですよ。ルカ。」
『ここは外国かな?』
「おや、ストレートな愛情表現はお嫌いですか?」
『ううん。嬉しい。ありがとう...ねぇ、幻太郎。』
「どうしました?」
『愛してるよ』
「..っ!!」
突端に真っ赤な顔になる彼は、変わらず初心らしい。
「小生も...誰よりもルカを愛してますよ。」
それでも優しい眼差しで、そう答えてくれる幻太郎を
とても愛おしく思った。