第11章 嵐のち星空
しばらくすると
落ち着いた私に安心した幻太郎は
改めて周りを見渡す。
「お手伝いするつもりだったのですが、ほとんど終わってしまっているのですね。」
『仕事柄、服が多かっただけで、あとは物欲がなくて...手間がかからんで良かった。』
窓に目を向けると、外はすっかり暗くなりつつある。
だからといって、元彼のこともあったからか、外食する気にはなれず
とりあえずは適当に作るよと、腰をあげた。
ふと、幻太郎を見ると何やら顔が赤い。
『どうしたん?』
「いえ..その...新婚みたいだなと...」
これから同棲をすると言うのに、ウブな彼の発言。
『うん。楽しみだね!』
「えぇ、とても。」
嬉しそうに微笑む幻太郎に心の底から、彼の手を取ってよかったと思う。
『一緒にスーパーで買い物したり、一緒に料理したり、
映画とか、カラオケとかバーとか...
したいことも行きたいとこもいっぱいあるから、
片っ端から付き合ってな?』
「もちろんです。全部叶えますよ。」
幸せだな。としみじみと思う。
これからもずっとこうであってほしいなと思うのは
傲慢な願いなのだろうか。
ネガティブな考えを早々に打ち払い、
なに作ろかな。と
冷蔵庫の中とにらめっこしながら思考先を変える。
話に集中しちゃって待たせてしまった。
使い切ることを目標に簡単に作れるものをチョイスし、
何品か出すことにした。
調理を進めてる中、
「美味しそうですね。」「一口頂いても?」
とあまりにもワクワクした顔でいうものだから、
まったく...本当に愛おしいことこの上ない。