第10章 雨のち嵐
「ところでルカさん、ここ辞めたらどうするか決まったんですか?やっぱ、前言ってた紅茶専門店?占いもありだと思うッスけどねー。」
『あー、彼氏と同棲。』
「まぁじっすか!!いつの間にしれっと!こっちの人??」
『いや、東都。』
「ルカさんのことだから、ネット恋愛ではないですよね。直接?年上?」
『ちょっとdisられた上に、質問責め、シバくぞ。
ちなみに年下。』
「え、こわ。
年下かー。まぁ、姉さん女房って感じしますもんね。」
『女房は早すぎワロタ。ちなみにこの人。』
口が硬い子だし、良いかなと2人で撮った写真を見せた。
そこからは
驚きでテンションが上がったのか、
根掘り葉掘り聞かれまくって
仕事にならず、といっても
暇で暇でな状態だったので、
仕事は大してしてなかったのだが。
幻太郎も仕事で忙しく、
自分も仕事と荷造りもあり忙しかったが、
電話は毎日欠かさずしてたし、
仕事の休憩中、
欠かさず連絡を取っていた。
後は残りの1週間の出勤を有給消化を利用し、
家具の解体や引き取り、
要らないものは中古ショップにお世話になろうと本腰を入れるときだった。
ふと、嫌な予感がしたのだ。
冒頭でも言ったように、
霊感が働いた。というより直感の方が近い。
スマホに目が行き、いつもなら
幻太郎から連絡が入ってないかをこまめに確認をするのだが、
どうにもこうにも、確認をしたいとは思えなかった。
しかしながら、不用品の引き取りの電話を入れなければならないと
自分の中の段取りには逆らえず、
恐る恐るスマホに手を伸ばし確認をする。
そして、悪い予感程、よく当たるのだ。
ひろと。
無機質に表示されたメッセージ受信の案内と元彼の名前。
嫌でもそう古くない記憶が蘇る。
メッセージを開く震える手はまるで自分のものではないみたいだ。
【今、お前の住んでる地域に遊びに来てんねん。】
ヒュっと喉がなった気がした。
メッセージアプリを閉じて、
電話帳を開き、
通話ボタンを押す。
「はい。」
『幻太郎...会いたい...。』
「ルカ...。
今から向かいます。」
本当は引越しの3日前に会う予定だったのだ。
引越しの手伝いをしてくれるって言ってたから。
でも、どうしても会いたかったのだ。