第1章 暴走デザイア! 【フロイド】
「さん、休憩ですか?」
「あっ、ジェイド先輩」
彼は両手に空いたお皿を大量に持っていた。
なんかこの状態で控えに行くの悪いな…早めに戻ってこなきゃ。
「休憩というか…ちょっとエースとデュースから首の裏に怪我があるって言われたので確認してこようかなって」
「ほう、怪我ですか…僕が作った魔法薬がお役に立てるかもしれないです。少し見せていただけますか」
後ろを向くと、ジェイド先輩がポニーテールの髪を少しだけ撫でる。
「ッ!?…これは…っ」
「ええっ、もしかしてそんなにヤバい感じですか!?」
急に無口になる。
…魔法薬すら効かないほど酷い怪我なのだろうか?
「早急に絆創膏を貼ってきてください。控えのチェストの中にあるはずですので。」
「えっ、はいっ!ありがとうございます!」
どうしてそんなに機嫌が悪そうなの、ジェイド先輩っ!
私にはとても優しいけど、たまに怖い時があるからほんと機嫌損ねたくないんだよなぁ…
「___一体誰が…」
「ん~~~~~!!傷が見えない!!」
控え室のチェストから絆創膏を借りる所までは良かったのだが、肝心の傷がどこにあるのか全く分からない。
ポケットに入れていた鏡と全身が映る大きさの鏡をあわせ鏡のようにして見るも、うまくできないのだ。
「早く戻らないとジェイド先輩が大変っ…今はアズール先輩も居ないし、こんなことしてる場合じゃないのに」
何か使えるものはないかな。もっと大きめの鏡とか…
ぐちゃぐちゃにしないように気をつけながら、もう少しチェストの中を漁ってみる。
すごく綺麗に整頓されてて感動しちゃった。オクタヴィネルのみんなって実は私より女子力あるんじゃないかな?
「あれぇ~?小エビちゃん♡またまたこんな所で何してるの?」