第4章 初恋ファシネーション!【ジェイド】
「は…っ、申し訳ありません、強引にしてしまって…」
「…いえ、私こそ見苦しいものをお見せしました…」
フロイドと彼女は、恋仲にあるのだろうか。
…いや、あるのだろう。
あの痛々しい傷を見れば、2人がどれだけのことを致したのか、誰でも簡単に想像がつく。
さんと歩く廊下が、いつもよりとても長いもののように感じた。
「…ジェイド先輩」
「っえ…はい、なんでしょう?」
「今日の放課後、クルーウェル先生からお話があると言われているので、モストロ・ラウンジにはお手伝いに行けないとアズール先輩に伝えておいてもらえますか?」
「…分かりました、伝えておきますね」
彼女は僕に軽く手を振り、"またあした"と言って教室に入っていく。
"またあした"
心の中で呟いて、僕に"また明日"があることの嬉しさを噛み締めた。
「仔犬、この無数の噛み跡と腫れ物は一体なんなんだ?」
「は…やっぱりその話ですよねぇ…」
私は今暖かいココアを飲みながら、クルーウェル先生からの尋問を受けている。
元々何の話で呼ばれたのか分からないけど、そっちのけで傷のことを聞かれた。
さすがにほぼ全身包帯みたいな状態で歩いてたら色々聞かざるを得ないよね…。
私は意を決して、この身体になってしまった理由を先生に打ち明けた。
「…仔犬…お前ってやつは…」
「…不本意にも大変なことに…」
呆れたような、同情するかのような複雑な表情で私を見つめる先生。
確かに無理矢理だったとはいえ、やらかしてしまったことはやらかしてしまったわけだし…。
「…このことを他に知っている生徒は?」
「…ジェイド、先輩」
そう。何よりの問題はそこなのだ。
よりによってジェイド先輩に全てを知られてしまったこと…
今日だってめっちゃショックそうな顔してたし、さすがに自分の双子が私なんかと不純異性交遊してましたってなったら気持ち悪いよね…
軽蔑されたかな。
…もう話してすら貰えないのかな。
あは、なんだかショックだなぁ