第1章 あなたと【スティーブン】
クラウスの推薦でライブラに加入した、
クラウスの遠縁の親戚にあたるという
クレア・カルティエは、ハッキングの天才だった。
僕でも技術はあるほうだったが、
彼女より劣っていたことはすぐにわかった。
少し悔しかったのを覚えている。
クラウスの推薦でもある
クレアの信用は厚かったが、
クラウスと昔、一緒に過ごした時から、
10年以上は経っている。
その10年でクラウスの知らない彼女になっている
可能性は0(ゼロ)ではないはずだ。
僕は、しばらく彼女を調べることにした。
彼女もハッカーの天才で、
そう簡単に尻尾を出すはずはないとは思った。
クラウスには、まずクレアの出生を問いただした。
彼女は、“孤児”だったらしい。
まだ赤ん坊の頃に、両親に捨てられたのか、
やむない事情があったのか、
籠の中にいた赤ん坊は、
運良く、心良い人に拾われ、
施設に預けられたという。
施設で5歳まで過ごした彼女は、
生まれ持った天性の才能、
なんて信じられない話だが、
どの子供よりずば抜けた天才だったらしい。
その子供の噂を、どこからか聞きつけた
クラウスの遠縁は彼女に目をつけ、
引き取ったらしい。
クラウスの遠縁といえど、大金持ちだ。
施設は、莫大な大金を積まれ、
断る理由がなかっただろう。
それから、彼女は更に質の良い教育を受け、
良い環境で育てられたそうだ。
遠縁の人間が、
天才な彼女をどうしたかったのかはわからない。
クラウスは、
昔の親戚の集まりに居合わせ、
少しの間だが遊んでいた彼女のことを
思い出したそうだ。
彼は、クレアをライブラに迎えたいと考え、
遠縁に彼女を預かりたいとお願いをしに行った。
クラウスの家の方が立場が上だったのか、
特に揉めることなく、
クラウスがクレアを預かることを
承諾された。
彼女もクラウスのことを知っていたため、
特に疑うことなく、ついて行ったそうだ。