第1章 あなたと【スティーブン】
退院から1ヶ月が経ち、クレア自身は
普通に生活できる状態だった。
周りからは、無理をするのは厳禁と言われながら、
ライブラの仕事に復帰した。
同じデータ分析をしていたライブラメンバーは
クレアが帰ってきてくれたことに
泣いて感謝した。
クレアがいない間、苦労したそうだが、
彼女の身体の方が大事だということは
誰もが理解していたため、
助けを依頼することはなかった。
復帰してから2日後、仕事していると、
携帯電話が鳴った。
表示にはスティーブンの名前が書いてあった。
スティーブンとは、ライブラ復帰の初日に
既に会っており、久しぶりと
当たり障りのない会話はしていた。
最後に会った病室で「話がある」と告げられたことに
クレアから触れることはできなかった。
電話の内容は、いつ仕事を終わるのかと聞かれた。
無理は厳禁と言われているので、
もう終わらせて帰ろうとしていると告げた。
『下で車を止めて待っている』
とスティーブンに言われて
クレアは「え?」と言ったが、
電話はそのまま切られた。
クレアは続けてえーーと思ったが、
ちょうど仕事も切りがよかったため、
帰る支度をすることにした。
クラウスもパソコンに向かって作業していたため、
スティーブンと一緒にいるというわけではなかった。
クラウスに、スティーブンに送ってもらうことを
告げようか迷ったが、
わざわざ報告することもないと、
挨拶をして帰ることにした。
ライブラの機密出口から出たクレアは、
道路に出てスティーブンを探した。
スティーブンが車の前で待っており、
助手席を開けて乗せてくれた。
スティーブンが車を動かした後、
「あの、どうしたんですか?」
とクレアはスティーブンに問いかけた。
おそらく、以前言っていた話がある、
ということなのかと思っていた。
「今から僕の家に行く。」
と言ったスティーブンに
クレアは「は!?」と驚いた。
クレアは自分の家に送ってくれるとばかり
思っていたからだ。
「え、スティーブンさんの家!?
どうしてですか!?」
スティーブンさんは
運転しているいつもの爽やかな横顔で
「僕の家じゃ、何か問題でも?」
と言った。
怖くてクレアは「いいえ…。」と
何も言えなかった。