第1章 あなたと【スティーブン】
クレアの退院は、クラウスが立ち会ってくれた。
クレアは遠慮をしたが、
クラウスは車椅子を借りてくれた。
痛みがなくなっても問題なく歩けるように、
松葉杖でも少しずつ歩ける練習を
しなければならなかったが、
念のため、と貸出してくれた。
それから、クレアはクラウスが
プライベートで使用している別荘で
お世話になることになった。
クレア自身も、一人暮らしの家を
元々用意してもらっていたが、
怪我で身の回りのことができなく、
申し訳ないと思いつつ、甘えることにした。
クラウスは留守が多かったので、別荘に使用人は
専属のギルベルト以外はほとんど滞在していなかったが、
クレアのために、
本家より、女性の使用人を呼び出してくれた。
クレアは何苦労なく、
治療とリハビリを進めることができ、
クラウスに感謝をした。
たまに、レオたちが連絡をくれ、
気分転換に危ない場所には絶対に近づかない、
という約束の元、
外に出かけることも許してもらえた。
レオは、車椅子を押してくれて
「こういうの…慣れているんです。」
と妹さんの話をしてくれた。
レオだけじゃ心配とばかりに、
ザップやツェッド、チェインの
誰かは必ず付き添った。
身体は不自由が続いたが、
楽しい日々を過ごした。
スティーブンに最後に会ってから、
1ヶ月は経ち、少し寂しかった。
クラウスの家で過ごしていることは、
スティーブンも知っているとは思うが、
特別に連絡を取るような仲でもないと諦めた。