第1章 あなたと【スティーブン】
スティーブンは、クレアの病室で
仮に誰かが聞いていても、問題がない程度に
クレアが報告をしていないはずの
単独で動いていたデータのことを話した。
クレアは顔を真っ青にした。
そのことを咎められると考え、
しかしやったことは事実だったので、
言い訳もなかった。頭も身体も痛かった。
続けてスティーブンは話をした。
「まぁ、いいだろう。
既にとうの昔の話だ。
調べたところ、
今後に影響がないことがわかったからな。
…今後は、何があっても報告するんだ。
クラウスが…君のすることに反対すると
は思えないからな。」
クレアはお咎めなし!?と
理解をし、安堵した。
「…本当無事でよかった。」
スティーブンは、クレアの頬に
手を添えてそう言った。
クレアはハッとした。
スティーブンが、ほんの少しだが、
泣き出しそうな顔をしていたからだ。
ほんの少しで、一瞬のことだったことと、
スティーブンがそんな顔をしていることに
驚いたため何も言えなかった。
「…ありがとうございます。スティーブンさん。」
クレアも少し嬉しくて、
スティーブンの手に自分の手を重ねた。
「で、今回の事件の話だが…。」
スティーブンはいつものスティーブンに戻り、
一人でいち早く現場に行ったクレアに説教をした。
長かった。
途中お父さんみたいなことを言っていた。
"知らない人についていかない"などと、
あまり関係ないような、
子供のようなことも言われていた。
これもあれも今後は、絶対に駄目だ
と言いつけられた。
レオ達が言っていたことと似た部分もあった。
帰ってきたら誓約書を書かせサインさせると、
圧がすごかった。
一息ついたスティーブンはクレアに告げた。
「それから…退院したら、話がある。」
クレアは不思議な顔をした。
「え?今じゃ駄目なんですか?」
「あぁ…退院したら、また話す。」
そう言ってスティーブンは
クレアの頭をひと撫でして帰っていった。
「(そういえば、この前おでこに…
どういうことだったんだろう)」
以前スティーブンにおでこにキスされたことを
クレアは思い出して疑問に思ったが
話を聞き疲れて、眠ってしまった。