第11章 愛 2
「……どうした」
なんだか落ち込んでるようにも見えてきて、心配になる。
すると潤は、はぁ……と、深く息を吐いた。
「こんなはずじゃ……なかったんだ」
「……?」
意味がわからない。
俺が、怪訝な顔をすると、潤はおもむろに手を広げ、俺を抱き寄せた。
いつもより熱い体温の胸。
本来なら、何よりも安心できる場所ではあるが……今は心配の種でしかない。
早く寝ろ、と言いたいのをこらえて、じっと黙っていると、潤はポツリと言った。
「あのさ……お誕生日おめでとうって……言いたかったんだ」
「あ?……ああ」
……誕生日か。
この年になるとただの通過点の行事でしかないけど、毎年、必ずメンバーみんなで祝いあってる。
だから、別に忘れてはいなかったけど。
頭の上から聞こえる潤の声。
……なんだか、しゅんとしてる。
「翔くんが帰ってきたら、すぐ言うつもりだったのに」
「……うん」
そうか、ようするに寝てたから失敗したっていいたいんだな。
可愛いなぁ、と少しニヤニヤしてると、
「そんで……40になった翔くんとたくさん愛しあおうと思ったのに」
……そっちか。
俺は、がくっとなってしまった。