第9章 温
不意をつかれた翔くんが、後ろに倒れそうになるのを、片手でささえる。
「……っ」
そして、そのまま立ち上がった俺は、椅子に翔くんをおさえつけ、上から口づけをより深めていった。
「っ……ん……ぁ」
苦しげに眉をよせて、キスを受け入れる翔くん。
差し込んだ舌で、少し怯え気味の翔くんの舌を絡めとるように動かすと、彼の漏らす吐息に艶がでてくる。
チュク……っとわざと水音を響かせると、翔くんが身じろいだ。
「はぁ……じゅ……んん」
キスの合間に、翔くんが、たまりかねたような声をあげる。
俺は、唇を何度も啄み、
「……ご馳走さま」
低く言って、顔をゆっくり離して、にっと笑った。
翔くんは、上がった息を整えながら、信じられないというような顔になった。
「……おまえ」
「デザート。もらったよ」
言って、そっと頬を撫でると、翔くんは、あきれるような顔になった。