• テキストサイズ

it!《気象系BL》

第9章 温



翔くんは、自他共に認める、料理ができないアイドルという称号をなんとかしたいから、この企画を立ち上げたという。


……概ね成功してんじゃね?と、思う。


俺は目の前で湯気をあげてる、豚肉の生姜焼をまじまじとみつめた。


見た目はとてもうまそう。


玉ねぎが若干太い気もするけれど、メジャーで測ってまで五ミリに切ろうとしていたその心意気を買いたい。


「食ってみて」


向かいに座った翔くんが、ワクワクした顔で俺を見る。


「うん……いただきます」


俺は箸を手にとってペコッと礼をした。

箸でつまんだロース肉は柔らかくて、よくタレが絡んでる。

口に入れると、甘辛い風味が広がる。


「お。うま!」


思わず口に出すと、翔くんは、だろ??と、言って鼻をふくらませた。


「すごい、翔くん。できるじゃん……」

「俺、YDKだから」

「やればできる子?」

「そ」


少し油がきつい気もしたけれど、世辞抜きにしても美味しい。

俺はすっかり感動してしまった。
/ 61ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp