第6章 陽
そこで、俺は、ふと思う。
いつも俺は、自分のことを、逐一さらけ出してるけど。
こいつは聞くばかりで、自分の話なんか一切しない。
ニノって好きな人いるのかな……?
いや、もしかして、俺が知らないだけで、彼女とかいたらどうしよう。
急に不安になり、俺はガバッと起き上がって、目の前の色白の顔をじっとみつめた。
「……なに」
ニノは不審そうに顔をあげた。
俺は思わず、
「ニノって……彼女いたりするの」
聞いてみた。
すると、ニノは、軽く目を見開いてから、ふんと鼻で笑った。
「……いたら、こんな日におまえといねぇわ」
「そう……だよね」
俺は、なんだかちょっと安心して……そしてそんな自分にびっくりする。
これは、同志がいる安心感なのか。
それともニノに彼女かいないことの安心感なのか。
……いや、まてよ。
「ねぇ……じゃ、好きな人は?いるの?」
おそるおそる聞いてみる。
すると、ニノはさらりと、
「いるよ」
と言った。
…………えっ?!
俺は一瞬、目が点になり、それから、えええっ!!と叫んだ。
「うっそ!誰?俺が知ってる人?!」
「…………」
「全然知らなかった!!え!俺、応援しちゃうよ!誰?教えて?!」
「言うか、バカ」
「なんでよ!」
「絶対言わねぇ」
「ニノぉ~」
「寄るな」
しっしっと追い払われて、俺はベッドに、すごすごともどる。
想像以上にショックをうけてる自分がいた。
ニノに……いるんだ。好きな人。
急にひとりぼっちになった気分になった。