第6章 陽
N
今日も俺の部屋で、ぼやいてる。
バレンタインなのに、一緒に過ごす彼女ができないという。
バカかと思う。
知らないのはおまえだけで、てめぇの人気はものすごいんだ。
人気がすごすぎて、みんな牽制しあってて、動くに動けない状態だなんて信じられるか?
そうさ。
おまえはモテないわけじゃない。
バカだから気がついてないだけだ。
だけど、……それらすべてに、俺がどれだけ、ヒヤヒヤしてるかなんて想像できないだろう?
………お前がこうして部屋に来てくれることが、うれしいだなんて、思いもしないだろ。
……それでいいんだ。
おまえは何も知らないままでいい。
俺のこの汚い思いも、永遠に気づかないで。
おまえはいつまでも、その純粋な心のままでいて。
「ねぇ……ニノの好きな人って誰ー?」
……しつけーな。
「俺、おまえを応援したいんだ」
……残酷だよ、まじで。
「幼馴染みだろ?」
その幼馴染みのほんとの思いを知ったらどう思うんだろうな?
世界一、バカで、鈍感で…………温かいおまえは。
end.