第4章 永遠
「どういう意味……?」
「このバングルを、俺の代わりに使っててほしい。そして……いつか、また。一緒に仕事をする日が来たら、返してくれる?」
俺は、黙って翔ちゃんを見上げた。
翔ちゃんは、少し泣きそうで困ったような顔をしてる。
まるで、俺に、遠回しに拒否しないで?と、訴えてるみたい。
しばらくその潤んだドングリ眼を見つめ続けた。
このバングルの意味は……きっと、俺に戻る場所を確保してることだと思った。
いなくならないで、と。
きっと、戻ってきて、と訴えてることだと思った。
でも、それをストレートに口にすると、俺がプレッシャーに感じるかもしれないから、遠回しに言ってるんだと。
翔ちゃんの精一杯の訴えだと……思った。
このバングルを返したときが、再び一緒に仕事をするときだ、と。
だから、きっと返してね、と。
そういうことなのだろう。
俺たちは、黙って見つめあう。
翔ちゃんの瞳は、まるで判決を待つ人のような、不安な色をたたえてる。
俺は、ふっと微笑んだ。