第4章 永遠
「うん……これ翔ちゃんだと思って、ずっとつけておくね」
「…………」
「いつか……きっと返すから」
「……うん」
翔ちゃんの真意はわかってる、と想いをこめて頷いた。
……きっと、戻るよ。
翔ちゃんの腕が俺を抱き寄せた。
ふわりと翔ちゃんの香りに包まれる。
温かな胸。
俺は両手を翔ちゃんの背中にまわした。
「兄さん……智くん」
「ん?」
「……好きだよ」
「……うん……俺も」
「俺を忘れないでね……」
「(笑)当たり前だろ。俺、どこ行くってんだよ……」
ふふ、と笑いあい。
……静かに唇をあわせた。
少しだけ……俺のワガママ許してね。
戻るのは、翔ちゃんの隣と決めてるから。
大丈夫……帰るよ。
きっと、必ず。
ニット帽子でくちゃくちゃになった髪の毛を、やさしくすいてもらう感覚に浸りながら、俺は、ぎゅっと翔ちゃんにしがみついた。
fin.