第3章 第一夜
薬「・・・・・やるか」
鯰尾を問い詰めて吐かせた話によると、二組の検非違使から盗んだ液体を混ぜたものらしい。本人も効果は知らないらしく、まずは毒の種類の特定を急がなくてはならなかった。
刀剣用に調合された毒は、人間とってかなり有害だ。まして、二種類の毒が混ざっているとなればどんな副作用が現れるかも予測出来ない。
下手すれば、何らかの後遺症が残る可能性だってあるのだ。確かめなければならないことがある以上、死なせるわけにはいかない。
薬「少しだが臭いがあるな。蛇毒の可能性があるか。それなら・・・・」
戸棚から数種類の薬液瓶を取り出し、別々の容器に数滴ずつ垂らしていった。すると2つの容器に反応が見られ、1つは予想通り蛇による神経毒、もう1つは筋神経に働く麻痺薬だと判明した。
薬「厄介なもんを混ぜてくれたもんだぜ・・・・症状も悪化してやがるっ」
急いで着物を脱がせ、近場にあった白衣を裂いて患部周辺の汚れと血を処理する。
に「水持ってきたよ。あれ?何か審神者の様子悪くなってない?」
薬「蛇の毒に麻痺薬、その上馬糞が傷口から入り込んでショックを起こしてる!抗毒素は以前、使ったものがあるが・・・破傷風にでもなったらっ」
に「分かった、僕も手伝うからやれることをしよう」
説明をしながら、受け取った水で傷口を迅速に洗い流して二人は出来る限りの措置を行った。青江の手伝いもあり、何とか危機は脱したもののあくまでも応急措置だ。後はこの審神者の回復にかけるしかない。
に「・・・・落ち着いたら、助けた理由を教えてもらえるかな?」
薬「・・・・・まだ、確証がないから詳しいことは言えない、ごめん」
に「・・・・そっか。にしても、彼は陰陽師か何かなのかな?呪符に勾玉、式神符、それと御守り?」
出てきた呪い道具をマジマジと観察していた青江が、1つだけ場違いな御守りを手に取った。
若干血で汚れてしまっているが見覚えのあるソレは、以前 宗三が小夜のために作った物に酷似していた。
に「多分、この御守りは小夜君のだろう。部屋も近いから渡しておくよ。・・・ついでにこれも片付けとくね」
"これ"とは水桶のことを指していたようで、はっと振り向いた時には、軽く手を上げて御守りと桶片手に部屋を去っていった後だった。