第4章 第二夜
曖昧だった姿が形を帯びたことで、得体のしれない恐怖に変な汗が吹き出る。
神がいるのだからそういった存在がいても何ら不思議ではないし、信じていない訳でもない。
ただ、誰しも苦手なものはあるというだけだ。
今回の場合、刀剣はれっきとした付喪神の一種。命尽きれば本霊に戻るのが常である。
となれば…
「さ、審神者の、幽••••れい?」
「”ゆうれい”とは酷いですね」
「え•••っ、しまっ!?」
一瞬 反応が遅れたカヲルは、気付くと布団を剥ぎ取られ、逆M字開脚の体勢で拘束されてしまっていた。
「アレと同等に言われる のは尺ですが、いい眺めですよ。実に滑稽だ」
頭上から嘲笑うように言葉を浴びせられ、羞恥からカッと頬が染める。
鼻すれすれに鎮座する分身が何ともシュールで、目を背けたくても左右を自分の足に阻まれて叶わなかった。
相手は見えないがきっと、勝ち誇った笑みを浮かべているだろう。
現状武器なし、丸裸状態のカヲルに対抗する手段はなく、彼の力量がわからない以上、どうにか穏便に済ませれないかと思考を巡らせた。
「…お恥ずかしながらご覧の通り、私は丸腰です。信じて頂けないかもしれませんが、貴方と争うつもりも危害を加える気もありま」
「…ぬけぬけと…っっ」
「い”っ、痛っっ!!ぐ…」
掴まれている太腿に力が加わると、内腿に向かって赤みを帯びた無数のミミズ腫がはしる。
「ふふ、いい声ですね。さぁ、もっと啼いてください。私の、ワタシノタメダケニ―――」
それに気を良くしたのか、彼の声音に悦の感情が交じった。
「い"あぁぁあっ――!」
先ほどとは比べ物にならない鋭い痛みが柔らかい皮膚に牙を立て、容赦なくカヲルを襲う。
全身を駆け抜けていく痛みに歯を食いしばるカヲルを他所に、彼は反応を愉しむように、感触を味わうように何度も噛み付いた。