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訳有り審神者と刀剣の事情・・・

第3章 第一夜



「行きましょう」


急いで元来た道を全速力で走っていく。
色々な回避方法を模索するも、まだ敷地の半分ほどしか把握していないカヲルに、逃げる場所など有りはしない。


「ハァ、ハァ、ハァ──」


枝折戸近くの茂みに身を潜めて、必死に頭を巡らせる。その間にこんのすけには回復札を貼り、懐の勾玉の中へ避難させた。これで両手は自由だ。


(なるべく穏便にことを運びたいですが、仕方ありません)

手首についているブレスレットの封印を1つ解除すると、手元に美しい模様の彫られた一本の刀が顕現された。


「こーんなところにいたんですね、さがしましたよー!」

「っっ!」

「はなてー!!」

バッと顔を上げた先に、屋根上から銃装兵を指揮する今剣が目に入った。放たれる弾丸を鞘から引き抜いた刀で間一髪 応戦するも、銃弾は容赦なく雨のように降り注いでくる。

近くに隠れられる岩や樹木の少ないここは、彼らを使うには最適だ。上手い采配だと関心してしまうが。

今「いまです!なまずおー!!」

鯰「おっしゃーくらいやがれぇえ」

何処に隠れていたのか、膝丈程ある巨大な桶から団子上の塊を手当たり次第に投げつけてくる。しかもそれは近くを掠める度に強烈な異臭を放っていくものだから堪ったものではない。


「ヴッ、こ、これは・・・・馬糞?!」


鯰「そうですよ!障気を吸った土と3年寝かせた上物です、有り難く死んでください!」


「いや、それはちょ・・!?」

呆気にとられるカヲルを他所に鯰尾と今剣、二人からの同時攻撃を同時回避という荒業を強いられることとなった。

次第に避けた馬糞は地面に拡がり、みるみる行動範囲を狭めていく。踏んだら最後、精神的ダメージに加え無数の風穴が開くことは免れまい。

鯰「あーもー、すばしっこいなぁ!」

苛立ちを隠せないように、鯰尾の投げ方が荒く激しくなる。どうやら避けるばかりで反撃してこないことが気に食わない様だが、瞳には明らかに焦り色が見てとれる。

もしかしたら、桶の底が見え始めているのかもしれないとカヲルは思った。

今剣の攻撃は兵を下げない限り続くが、鯰尾の攻撃は無くなれば終了だ。そうなれば此方にもチャンスが回ってくる。
勝機はまだあると自分に言い聞かせて必死に相手の隙を探した。

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顕現(けんげん)
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