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私の世界

第1章 ここは私の世界じゃない




「そうだ、どうせなら朱里との初めて会った時の話をしようか」
「…お願いします」


貴方達の知ってる朱里ではない、と言う為にも聞いておこう。そう思い朱里はベポの話を聞いていた。


「そうだね、あれは…今から6年前かな。ある日、ペンギンが女に負けたって帰ってきたんだよ」
「…う、うん」
「どうやら仕事先で生意気な女がいるからってからかったらコテンパンにやられちゃったみたいでさ。シャチも女のくせって向かったらしいけど2人ともボッコボコにされて」
「………うん」
「それで、キャプテン…ローが、どいつにやられたって険悪な顔して俺の部下に手を出したの誰だって怒鳴り込んだけどキャプテンもやられちゃって…」
「………」
「僕が心配して飛び出したらシロクマの分際で喋るなって怒られたんだ」
「………そ、う…ですか…」


うわぁ、やりそう…。そう思いながら朱里は話を聞いていた。朱里は平凡に過ごしていた…最近は。昔はからかってくる男子相手に果敢に立ち向かい喧嘩をして、勝利をしては女子から感謝をされていた。中学生までは護身術にと空手を習っていたが、高校生になるからにはと友達から薦められて女の子らしくなる決意をした。それからは、からかわれても友人のアドバイス通りに過ごしていたら気になる異性といい感じになっていったので平凡な生活は最高だと思って過ごしていた。そんな朱里なら、6年ぐらい前の自分ならからかってくる男の子に対して平気で殴りかかっていただろう。


「…え、えと、それで、何がどうなったら一緒の船にいるんですか?」
「キャプテンがね、負けず嫌いなんだ。その頃は…いや、うん、今もちょっとアレなんだけど、もうなんかね…ムキになって毎日喧嘩しに行ってたよ。絶対いつか泣かすって言ってたし」


ベポがニコニコと話しているのを、昔そんな風に向かってこられて誰が泣くかって馬鹿にした事あるなぁと朱里は遠い目をして聞いていた。別人ですと言い切るには、中々そんな同じ名前で同じような事をする人間はいない気がしてきた。…彼らの知ってる朱里は、私なのだろうかと…モヤモヤとした気分が朱里を襲う。


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