第4章 変わった世界
「多分ね…記憶があの頃に戻ったのは、あの頃の私のままだったらどうなってたんだろうって悩んでたからだと思う。あの頃の私でも、ローは愛してくれたのかなって…今の、辛い経験をした私じゃないとローは愛してくれなかったのかなって…」
結果としては、ローは朱里が朱里であるなら愛した。むしろ、2人として認識する程にだったが。
「でも、多分俺は…お前の事を先に好きになったから…だから、俺との記憶がなくても俺が好きになった朱里なんだと…だから、好きになったんだと思う」
「んんー、まぁ、そこはね。分かんないし良いんじゃないかなぁ…だって今更どうやっても、ローが先にあっちの私を好きになった可能性なんて確かめられないんだし。そこは希望を持っていようよ。…何ならローが記憶喪失になってみたら?」
「馬鹿か」
「何でよ」
「お前に、あんな辛い思い…絶対させねぇ」
「………ありがとう」
忘れたくないと思うだけで悩んだのなら、忘れられたらどれ程悲しむのか。それを考えただけでローは絶対に自分だけは何があっても忘れないと誓った。朱里はそんなローの考えが分かるからこそありがとうとしか言えなかった。
朱里の部屋へと歩いている間、ふと朱里がローの方を振り返る。ローが何かと思えば朱里は手を差し出してきた。
「なんだ、珍しい」
「こういう気分なの」
「…何か企んでないだろうな」
「ないとは言わないけどー…嫌なら良いよ」
「はぁ…嫌じゃない」
手を繋ぎ、部屋へと向かう中朱里は思う。前世の記憶を持ってこの世界に産まれた悲しみはいつからかなくなっていた。ローの好物を作れたのは前世の記憶があるから。前世の記憶があるからこそ戦う事が出来た。今こうしていられるのも、前世の記憶があったからこそ。
でも、不安があった。この世界で産まれた自分のままで前世の記憶がなければどうなっていたのか。それもこれも、全てローが癒してくれた。
「ふふふ…ロー、大好き」
「…実は後遺症がまだあるんじゃねえのか?」
「そうかもねー。素直に言える機会なんてなかったし」
「まぁ…日記見なきゃ分からなかった事は沢山あったな」
「じゃあ、また日記を見たら色々分かるかもね」
「…あぁ」