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私の世界

第4章 変わった世界




「っ、綺麗だ、可愛い…本当だ。今の、お前が、見せてくれてるその笑顔が…好きだ」


唐突にローが後ろから朱里を抱き締めて、振り絞るような声で告げた。朱里は分かるようにしたつもりはない。それでも、分かったのかも知れない。明らかにローの様子がおかしいのを見て、ペンギンは一瞬顔を歪めた。シャチとベポはまだ分かっていないようで、朱里の持っているカメラに話題を移していた。


「何だ?写真撮るのか?」
「皆で撮る?」
「…うん。皆で、撮ろう。新しい人達には悪いけど…私とローと、ペンギンとシャチとベポで」


その言葉を聞いて、ベポがハッとしてローを見る。ローは何も言わずに頷くだけだった。


「ほら、皆…早く」


そう言って朱里が4人を集める。自分を真ん中にして、ローとベポを隣に。更にその横にペンギンとシャチが加わる。


「あ、じゃあ俺撮りますね」


新しい船員が、カメラを構える。何も知らない彼は、疑問も持たずにカメラを構えて何枚か撮り始める。


「次は、1人ずつ私と写ってね」
「何でまたわざわざ、そんな…。…お前…」


堪えきれない痛みが朱里を襲う。少し青ざめた顔の朱里を見てシャチが真剣な表情に変わる。そんなシャチの顔を見て、朱里はまた笑顔で言う。


「良いから…早く」


その朱里の言葉にシャチも気付く。そして言いたい事を全て抑えて笑顔で写真を撮った。ペンギンともベポとも撮り、ローとの番が来た。


「笑ってくれる?」
「…笑えるか、馬鹿」
「だよね」


それでも、2人の写真を撮りたかった。ローの腕にしがみつき、カメラに笑顔を向ける。何枚か撮り、頭痛と記憶が迫ってくる中一瞬気を失いそうになりその場にしゃがみ込む
朱里。


「朱里!」
「ロー…あのね…私、忘れるかもしれない…でも、大丈夫…また会えるならそれで良い…覚えてなくても、会えるなら…」


不思議と涙は出なかった。必死になって自分を見てくれるローの顔が、とても嬉しかったから。


突然の別れも嫌だが、こうやって徐々にというのも中々嫌なものだった。それでも、笑える程幸せだった。


「っ、ぁ…痛い…」


一際大きな痛みが朱里を襲い、とうとう笑顔は作れなくなる。
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