第4章 変わった世界
急げ
お前の時間は残り僅かだ
そんな事を言われている気分になりながら、日記帳を閉じる。後はノートにいくつか書くだけだ。
ノートに書いている間、いつの間にか涙が溢れていた。何故自分がこんな目に遭わなければいけないのか。ただロー達を悲しませる為だけに現れて、傷跡を残していってしまう。何年もしたら忘れる可能性はあるが、この世界の朱里と別れない限りきっと忘れないだろう。いつまでも心の中に置いてくれるだろうか。
「…後は、写真だけ…」
ノートにも書き切る事が出来てホッとする。強まる頭痛を堪えながら、ノート日記帳とは別に買った物を取り出す。用意をしている間にちょうどノックの音が聞こえて、この調子なら最後まで僅かな望みを叶えられるかもしれないと笑顔になった。
「はーい」
「やっぱり、先に戻って…っ、何だ、その格好」
「似合わない?」
ノックの音に応えると開かれる扉。扉を開けたのはローだった。本当に丁度いい。まるで予定調和のようで笑えそうなぐらいに。そう思いながら、朱里はいつもとは違った微笑みをローに見せながら、くるりと回ってローに魅せた。
「可愛いでしょ」
淡いピンク色のワンピースに、花の模様の髪留めをつけた朱里。スカート姿は勿論、淡い色だとか花柄だとかを積極的に身に付けなかった朱里のその姿にローは見蕩れていた。そしてハッとする。
「どうした、急に…」
「スカート買うって話したでしょ!カメラも買っといたよー」
「あぁ、そういえば…」
「そういえばって、忘れてたの!?酷いなぁ…」
ハッとしたものの、まだ少し惚けているローにブツクサと文句を言いながらも朱里はカメラを持ち、ローの前に立つ。
「写真、撮ろう?」
未だに響く頭痛と、どんどんと溢れていく今の朱里には知らない筈の皆との思い出。まだ、私だ。頑張るんだ。そう言い聞かせながら尚も笑顔で朱里はローの手を引き、皆の元へ行く。
「え、朱里!?」
「お前、何だよその格好!」
「うわぁ、朱里可愛いね!凄く似合ってる!」
「うーん、褒めてくれたのはベポだけかぁ…」
新しく仲間に入ったであろう人達は不思議そうにこちらを見ている。けれども朱里には彼等に構っている暇はなかった。