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私の世界

第4章 変わった世界




1人になった朱里は紙が売っているお店を探していた。朱里は忘れない事を、奇跡を願っている。ただ、それでも抗えないかもしれない運命の為にと自分を残そうと思っていた。


「良し、新しい日記帳にノート。これで、私の言葉が残せる…」


その日記帳とノートを持って、朱里は一足先に船へと戻った。皆が船員探しをしている間に1文字でも多く残そうと思ったから。船に着き、部屋に入り日記帳を広げる。1度深呼吸をした後書き始めた。字は多少汚くても良い。とにかく少しでも残すべきだと。その為に必要な事を一分一秒を惜しむように必死に書いた。

今はまだ午前中で、皆が戻ってくるのは早くても夕方。その間にどれだけ書けるのか。


朱里が、今一分一秒を惜しんでいる理由があった。最近頭が痛むようになったのだ。そして、記憶が混同する。きっと、元からこの世界にいた朱里のだろう。自分が見た筈はないのに、幼いローの顔を思い出す。このままではどこまでが自分の記憶なのかも怪しくなってしまう。偶然にも大きめの島で紙を手に入れて、皆と離れる時間を作れたのは奇跡に近い。こんな奇跡があるなら、そもそも残す必要もないかもしれない。それでも、残すべきだと思った。


どれだけこの数週間が濃かっただろうか。こんなにも濃密な時間を過ごす事はこれから先ないかもしれない。いや、生まれ変わったらまた皆とは出会えるのだからまだ終わらないのか?
日記を書いていき、いつの間にか外では景色がオレンジ色に変わっていた。色々考えながらも書けるものだと感心していて、書いている内容を考えて朱里はハッとした。


「駄目だ…忘れなきゃいけない…奇跡なんて、望んじゃいけない!」


頭の悪い自分が1人でその考えに至れて良かったとホッとする。奇跡を望まずにいるなら、こちらの奇跡だけを考えればいい。全てを書き切るその猶予を。それさえあれば、良い。


いつの間にか部屋の外で話し声が聞こえてくる。


「ーーーで…こっちが…」
「後ーーー…」


どうやら新しい仲間を勧誘出来たようだ。という事は、一段落つけば自分の所へくる。


「後少しだから…」


書いている最中にも何度かあった頭痛がどんどんと酷くなっていくのに、急かされている気分になる。いや、きっと急かされているのだろう。
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