第3章 新しい日々
どれほど泣いたのか、周りも気にせず泣き続けていていつの間にか周りにはペンギンとシャチ、ベポもいた。ローは優しく抱き締めたままだった。
彼等が朱里に優しくするのは、この世界で既に生きていた朱里との繋がりがあるから。朱里は朱里だと。本人が違うと言っても、同じだと思っていたから。実際は同一人物であるから、優しく大切にして当たり前ではある。
「…あ、はは…っ、ごめんね、皆。…分かってたのにね。記憶障害なら、いつか記憶はなくなるのにね…私が、この世界の朱里とは違うって言い張ったせいで、皆に変な気をつかわせちゃったんだよね。その上、こんな…訳のわかんない事で泣いちゃって…」
きっとその内自分は元の世界に戻るだろう。その時にここの世界の記憶は消える。その後死んで生まれ変わってこの世界でまた皆と会える。そして元の世界で好きだった人よりも好きになった人と結ばれる。ペンギンとシャチ、ベポとは幼い頃から楽しい思い出を共有出来る。元の世界での大切な思い出はちゃんと日記に残せている。何が問題なんだ。彼等には数年を過ごした大切な人が戻ってくる。自分さえ我慢をすればいい。この人達は優しいから、泣いている自分を見て慰めてくれているだけだ。彼等の求めている朱里は自分ではない。
「っー…!えへへ、お腹空いたよね。ご飯作ってくるね!」
「朱里…」
「え、ま、待ってよ、朱里…」
「お前、それどころじゃ…」
「っ、お前、馬鹿かよ!そんな場合じゃねぇだろ!」
無理矢理涙を止めて立ち上がり、部屋を出ようとした朱里を止めたのはペンギンだった。ペンギンは顔を真っ赤にして朱里の目を真っ直ぐに見つめて怒鳴りつけた。
「俺だって、最初は早く記憶戻れとか思ってたよ!でも、俺達との記憶なくなっても、朱里は朱里だなって…じゃあまぁいっかとか、思ってた…でも、だからって、たった数週間でも俺達との記憶無くなったら、寂しいだろ!」
言うだけ言ってペンギンも自分の感情や考えを整理できてないのか、その後はだからだのでもだのとブツブツと悩みこんでしまった。その姿を見て呆然としていると、次はベポが話しかけてきた。