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私の世界

第1章 ここは私の世界じゃない




男の言葉に、何とか怯えながらも朱里は伝える。


「あ、の…何故か、私の名前知ってるようだけど…私、貴方達の事…知らない…」


そう言うと、手を握っていた男が手を離してそっと離れた。分かってくれたのかと思いホッとしたが、ホッとするのは早かったようである。


「さっきの男流した場所は何処だ」
「ま、待ってキャプテン!気持ちは分かる!分かるけど落ち着いて!!」
「先にこっち!こっちの問題!」
「先にちゃんと状況把握しよう!ね!?」


部屋を出ようと背を向け歩き出した男に他3名が慌てふためく様子を見ている朱里は先程から止まらないハテナに困っていた。この人達は何故こんなにも自分の心配をしているのか。どうやら知り合いみたいか話し方をしているが、ちっとも検討がつかない。


「…とりあえず診断をしてみる。お前らは出ていけ」


診断、という言葉が聞こえて更に訳が分からない。え、診断出来る立場なの?医者?医者!?と驚く朱里の様子を見て残った男…先程から朱里に対しての距離が近い男が溜息を吐く。


「とりあえず、質問をいくつかする。ちゃんと答えろ」
「あ、はい…」
「お前の名前は?」
「信楽朱里」
「年齢は?」
「18歳」
「誕生日は」
「先月の、9日…」
「今が何月か分かってるのか?」
「…9月、じゃ…ないんですか…?」
「………合ってる。…じゃあ、俺の名前は?」
「わ、かりま…せん…」
「…ここが何処かわかってるか?」
「…病院?」
「………さっきのヤツらの名前は?」
「分からないです…」


質問を繰り返され、質問に答えれば答えるほどに目の前の男の眉間にシワが寄っていく。それを見て朱里は更に怯えていく。それでも質問に答えていく。


「…昨日何してたか覚えているか?」
「昨日、は…普通に学校に…特にいつも通りで何も無かったです…」
「今日は?」
「えと…授業中に、頭に…なんか…当たったみたいで…そこからは…」
「………その学校とか授業ってのは何だ」
「何だって…学校は、学校ですけど…」


そこまで話して、目の前の男は考え込んだ。考えて考えて、言葉を選ぶように朱里を見つめて優しく話した。
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