第1章 ここは私の世界じゃない
「朱里、大丈夫か!?」
「あ、起きてたのか。ごめんごめん、キャプテンが外にいたから呼んでたんだよ」
「本当に困った人だよな、あの後朱里を気絶させた男バラバラにされてたぜ」
「朱里、頭はどう?大分強く壁にぶつけてたし無理はしないでね」
1番初めに傍まで来て言葉をかけつつ手を握ってきた男。朱里からすれば身長が高くてイケメンなのに目に隈があって更には握られた手に刺青が入っているという訳の分からない人間だ。
2人目と3人目は共に深く帽子を被っている。1人がペンギンとかかれた帽子を被っている。もう1人はサングラスをつけている。
そして4人目。4人目に朱里は思わず言葉を発した。
「え、シロクマ?」
人間ですらない生物が自分を心配している。そもそも知らない人間に名前を呼ばれてまるで知り合いかのようにフランクに話されるこの状況。何から話せば良いのかも分からず、とりあえず1番解決しやすそうな疑問を出すしかない。
「シロクマですみません…」
「いやいや、起きてすぐそんなボケとかいらねぇって」
「それより打った頭大丈夫かよ」
「…様子が少しおかしいが、気分でも悪いのか?」
落ち込むシロクマに、平然と話す2人組。そして、やたらと距離の近い男。朱里の中にはハテナしか飛び交っていない。
「あ、あの…貴方達誰ですか…?」
ちょっと柄が悪そうだけどこのまま置いてけぼりな気分も困ると意を決して疑問をぶつける。すると、手を握っていた男はイケメンだというのに残念な程に慌てだした。
「ど、どうした?何だ、何を怒ってんだ?まさか、この前の町で声をかけられた事をまだ怒ってんのか?あれは違うって言ったしそもそも俺は朱里一途だと何度も言って…」
「ちょ、キャプテン落ち着いて」
「朱里もいくら怒ってるからって冗談きついぜー」
「起きた時誰もいなかったのに怒ってるの?ごめんね朱里」
朱里からすれば本当に意味が分からなかった。どうしたら良いのか分からず、返事に困っているとふと未だに手を握る男が正気に戻る。
「…朱里…冗談じゃ、ないんだな?」
その言葉に、他3名は口を大きく開けて驚くしかなかった。