第3章 新しい日々
「もうね!馬鹿には考えるだけ無駄ってのが分かったよね!」
「何の話だよ!」
「憂さ晴らしさせてとか言っていきなり物干し竿持ってきたと思ったら何だよ!」
「日記見てたら2人なら遠慮なくボコボコにしていいかなって思って…」
「お前それ理不尽って言うの知ってるか?」
「モラルが欠けてる…!」
あの後考えてもモヤモヤするばかりなら身体を動かそうと考えた朱里は、物干し竿を手にペンギンとシャチに組手を頼んだ。結果負けた2人に対して朱里は呟く。
「…海賊って、こんなもんなの?」
「お、前なぁ!自分じゃ分かってないのかもしんねぇけど、まぁまぁ規格外だぞ!?」
「脳味噌足りない分絶対運動神経とかに持ってかれてるだろ!」
「え、何?物足りない?もっと?」
「いやいやいや、ベポに頼め!な!?」
「もしくはキャプテンに!俺らは無理!」
そもそも朱里は運動神経が良かった。動体視力も良く、反射神経にも長けている。そこに空手の教えが加わり、小学生男子の遠慮無しの猛攻。多人数との戦い。負けず嫌いもあり、負け戦にならないよういつも必死に勝ちに向かい、何が駄目だったのか猛省し次に活かす。少ない脳みそをそちらに使っているせいか、勉強は出来ないという代償がある。
「頭悪くてもなぁ…料理出来てスタイル良くてこんだけ戦えたら充分だよな」
「神様ってのがいるならずるいよなぁ。キャプテンなんかは非の打ち所がないしなぁ」
「そうですねー」
全く同意する気もなく朱里が返事をし、ふと考える。もし、元の世界に戻れたら今のこの記憶はどうなるのだろうか。もし、仮に。この世界の朱里と自分が同一人物なら。
「っ…あれ?どういう事になるんだっけ…?」
「ん?どうした?」
「朱里?」
もし仮に同一人物だとして。この世界の朱里はどこまで今の朱里の記憶を保有しているのか。この先今の朱里が死んだとして、どこまでの記憶が存在しているのか。
「…鍵付きの日記帳、見なきゃ…」
「朱里!お前顔すっげぇ青ざめて…」
「お、おい…本当に大丈夫?聞こえてるか?」
「っ、ごめん!確認しなきゃいけない事があるから!」
思わず走り出し、ローがいるであろう部屋へと向かう朱里。嫌な予感が当たらないよう願いながら。