第3章 新しい日々
服を選んだ後は食料補給の為にと他のお店へと出向いた。見る目は確かだから朱里がいなかったら大変だと言っていて、以前に思った食事要員ではないのかという疑問が再び上がってくる。
「簡単でしょ!何が分かんないって言うの!?」
「だから、こっちのりんごもこっちのりんごも同じだろ!」
「艶も色も違う!」
「食えば同じだ!」
「繊細な味が分からないなんて可哀想に」
朱里が鼻で笑うと、ローは言い返してやりたくてたまらなくなり、どうにか今の朱里に対してダメージを与えれる言葉はないかと悩んだ。
「ろくな事考えてなさそう。あ、これとこれもお願いします。んーと、5キロずつ。え、オマケ!?やったぁ!」
「…所帯染みてるな」
「うちはお父さんが稼いでお母さんがやりくりしてたからねぇ…買い物行ったらお母さんと安売り買う為に走ってたよ」
「そうか」
どうにか会話の中から糸口を掴めないかと思いながら話していると、ふとローの中で疑問が沸いた。
「あー…お前、の話じゃねぇけど…」
「うん?」
「朱里は、6歳ぐらいの時に親がいなくなってそれから自分1人で生きてきたらしい。だから…前に見たあのレシピ。あれが不思議なんだが…」
「………つまり、どういう事?」
「お前もう少し青魚を食え」
ローから呆れた目をされつつ、何とか自分で情報を整理しようとする朱里。
つまり?親は6歳の時にはいない。なのに、レシピを教わる相手がいたって事?もしくは親から教われたとして6歳以前?そういえば、そもそもロー達と出会った島が出身で、そこから出た事ない筈?その島では和食なんてろくになかった?なのに、その時点で和食の知識があった?
「………分かった、つまり!」
「つまり?」
「6歳でそんなにもレシピ覚えてるなんて実は頭良かったんだ!」
「黙れ」
「う、馬鹿にされるより辛い…」
予想外な方向でダメージを与えつつも、ローは自分の持った疑問をどう解消すべきか悩んだ。朱里の隠していた日記帳を見れば何か分かるのか?そんな事を考えていると、ふと朱里がローの裾を掴む。
「ロー…」
「っ、なんだ?」
「荷物持って」
「………あぁ」
姿形は変わらず、性格も変わらない。ただ、今まで過ごした記憶が違うだけ。そろそろこの問題も解消したいと悩んだ。