第3章 面影のない君
灯りがついていない中は暗く、入るのをつい躊躇ってしまうが、テンションが少し高かった私は中に入る事にした。
まだ外が少し明るかった為に中の様子が分かるのが幸いし、私はどんどん奥へと足を進めていく。
自分の足音が響く室内。
奥に進めば進むほど外の光は入らなくなり、視界が悪くなってくる。
受付、更衣室、シャワー室、休憩所…。
どれも当時のままと言っていいほどそのまま残っていた。
…小さい頃を思い出すな。
通っていたスイミングクラブとここはまたちょっと違うが、設備などは似ている。
「………」
足取りが徐々に重くなる。
完全に足が止まり、視線が下に下がる。
入る前のテンションはどこに行ってしまったのかと聞きたくなるくらい、私の気分は沈んでしまった。