第1章 水泳部と少女
…素肌にジャージってちょっと気持ち悪いな。
もちろん下着も濡れてしまっていたので、下以外は全部脱いでいる。
男の子のジャージは私の体には大きく、袖や裾を捲らないと歩けない。
大分乾いたものの、髪の毛はまだ湿っている。
濡れた制服を持って更衣室を出ると、壁に寄りかかって座っている渚くんの姿があった。
「あっ。えっと、さっきは本当にごめんなさい」
立ち上がった渚くんはスッとホットカフェオレを差し出してきた。
ちらりとその背後を見ると、遠くでその様子を見ている怜くんの姿。
私とバッチリと目が合った怜くんは、慌てて体を引っ込めた。
その様子に思わずふっと笑みがこぼれてしまう。
「もういいよ。私もさっきはごめんね?」
「っ、ううん!」
ぶんぶんと頭を振る渚くんからカフェオレを受け取って、私達は真琴くん達がいるところまで歩いていった。