第3章 面影のない君
その分、ハルくん達の視界に入らないようにと早く反応出来るのもまた事実。
私はいつまでこうしていればいいんだろうか……。
正直、ハルくんに助けられてホッとした。
あのままだと私は確実に死んでいただろうし、そう考えると今になって死にたくないと思う。
なんて身勝手な感情だろう。
「………どうしようかな」
これから。
そよそよと吹く風を感じながら、屋上の柵に腕を置いて頭を乗せる。
迷いだらけの私の中に答えを見出すことは出来ないが、しばらく学校に来たくないと言う思いだけは強く心の中に残っていた。
気分転換に帰ろうか。
…あの異国の地へ。
ただ、そこに彼がまだいるとは限らないのだ。