第3章 面影のない君
当たり前だが、制服が濡れたまま帰途についた私はそのまま高熱を出し、3日間寝込んでいた。
ハルくんと顔を合わせるのも気まずかったし、良かったと言えば良かったのかもしれない。
水泳部と関わりを断ち、少し前の生活に戻った今…私は何処か物足りなさを感じているのもまた事実だった。
……これで良かったはずなのにな。
誰も居ない屋上から下を見下ろす。
キラキラと輝くプールを見つめながら私は今日何度目か忘れたため息を吐く。
授業中の静かでのどかな時間。
授業をサボってゆったりとした時間を過ごすこのひと時。
同じ学年と言うのは厄介で、すこし教室を出ればハルくんや真琴くんの姿が視界に入ってしまう。
容姿が整っている彼らは嫌でも視界に入ってしまうので、特に厄介だ。