第3章 面影のない君
「…私だって、好きで水を嫌いになったんじゃないっ!」
キッ、とハルくんを睨み返す私の視界は涙で歪み、耐えきれなかった涙がボロボロとこぼれ落ちる。
我慢していた何かが堰を切ったようにとめど無く流れ出し、それを我慢出来ずに感情が支配するままに言葉を紡ぐ。
「克服しようって頑張ってるんだからっ!…っまた、水の中を自由に泳ぎたい、あの時の景色をもう一度この目で見たいって…っふ……」
驚いているハルくはじっと口を挟まずに私の言葉を聞いている。
涙でぐちゃぐちゃになった顔を見られたく無くて俯き、嗚咽を繰り返しながら落ち着こうとしても、感情が支配する自分を上手くコントロールすることが出来ない。
「…おい」
「………嫌い……」