第3章 面影のない君
こうして水を克服するための作戦がさっそく立てられた訳だが…。
「由真ちゃん、これは大丈夫?」
この黄色頭は私の事を馬鹿にしているのか。
ピクピクと引きつる私の頬に気づいていない渚くんは、両手で掬った水をこちらに差し出して首を傾げている。
「渚、流石にそれは…」
私の反応を見た真琴くんはやんわりと渚くんに言葉をかけた。
「えーっ?」
納得がいかないと頬をぷくーっと膨らませた渚くんは、怜くんに連れられてこの場を退場となった。
「…ごめんね由真ちゃん」
「…いや」
ぎゃいぎゃい騒ぐ渚くんを連れていく怜くんの姿を見ながら真琴くんの言葉に答えを返す。
「一つ、聞いてもいいかな…?」
声のトーンが落ち、辺りを包む雰囲気が変わったのを肌で感じ取った私は、次に紡がれる真琴くんの言葉に身構えた。